苦情が多いダイレクト型自動車保険
日本損害保険協会は、損保会社ごとの苦情件数を公表しています。これをもとに、苦情が多いダイレクト損保、少ないダイレクト損保を探りました。
苦情についての公表されている情報と使用上の注意点
公表されている苦情にについての情報
公表されているのは、次の2つの情報です。
- 損害保険各社が受け付けた、自社に対する苦情の件数。
- 日本損害保険協会が受け付けた、各社に対する苦情の件数。
損害保険各社が受け付けた件数のほうがはるかに膨大です。
ただ、残念ながら、苦情と判定する基準が会社によって異なっています。これでは比較できません。
日本損害保険協会が受け付けた分は、判定基準が統一されています。よって、こちらを参考にします。
取り扱いに注意が必要
公表されている数字は、会社ごとの苦情件数だけです。件数だけを比較しても、苦情が多いか少ないかを判定できません。なぜなら・・・
- 各社の保有契約件数や取り扱い件数が公表されていないため、発生率を正確に算出できない。
- 会社全体の苦情件数なので、各社の商品ラインナップによってかたよりが出る。
このサイトでは、次善の策として、各社の売上高(金額)を基準にして、苦情の多い少ないを判定します。
売上高を基準にすると、代理店型の損保とダイレクト損保とを比較するのは、困難になります。
たとえば東京海上日動は、数ある三菱グループの企業と法人契約しています。契約1件あたりの売上高は大きいです。
一方、同じ東京海上グループのイーデザイン損保は、もっぱら個人相手にネット通販しています。小さな契約ばかりです。
苦情が多いダイレクト損保、少ないダイレクト損保
上で解説したやり方で、苦情の多い・少ないを5段階にランク分けしました。
2021年度の実績
2021年度1年間の苦情発生率をランク分けしました。
苦情が多い |
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苦情がやや多い |
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普通 |
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苦情がやや少ない |
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苦情が少ない |
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このうち、セコム損保、チューリッヒ保険、楽天損保には留意事項があります。
セコム損保は医療保険や火災保険が主力商品です。またチューリッヒ保険は、傷害保険の売上が自動車保険と同じくらいあります。どちらも自動車保険が主力商品である他の会社とは、少し条件が異なります(ただし、その影響はわかりません)。
それと、楽天損保は2018年に新会社に移行したばかりなので、まだ実力を発揮しきれていない可能性があります。
2020年度の実績
ご参考までに、1年前のランク分けもご覧ください。
苦情が多い |
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苦情がやや多い |
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普通 |
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苦情がやや少ない |
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苦情が少ない |
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2021年度と異なっているのは赤文字の2社だけです。
2つの年度で傾向に大きな違いがないということは、上のランク分けに、信憑性が多少はありそうです。
苦情の多い少ないは、各社の組織力や人材の質に大きな影響を受けるはず。毎年コロコロ変わったら不自然です。
今後の品質向上を期待できそうなダイレクト損保
ダイレクト損保は若い会社が多く、業界としても20数年の歴史しかありません。
現時点ではパッとしなくても、持続的に向上している会社には期待できます。
そこで、過去3年間で持続的な向上が認められるダイレクト損保をピックアップしました(数字は苦情件数)。
会社名 | 2021 | 2020 | 2019 |
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SBI損保 | 314件 | 309件 | 429件 |
イーデザイン損保 | 168件 | 184件 | 199件 |
セゾン自動車火災 | 182件 | 211件 | 237件 |
ソニー損保 | 407件 | 440件 | 485件 |
三井ダイレクト | 190件 | 209件 | 249件 |
セゾン自動車火災とソニー損保は、現在でも苦情は少なめですが、向上を続けており、お勧めしやすいです。
イーデザイン損保と三井ダイレクト損保は、現時点では「普通」ランクですが期待できそうです。
SBI損保の2021年度苦情件数は増えていますが、売上を大きく伸ばしているので、苦情発生率としては下がっています。
SBI損保は「やや多い」ランクなので、今のところはお勧めしにくいですが、自分なりのペースで少しずつレベルアップしているようです。