解約が多いダイレクト型自動車保険
損害保険会社は、解約返戻金(解約した人に返したお金)の合計額を、保険ごとに公表しています。
この金額と自動車保険の年間売上高とを使って、解約発生率を計算することができます。
ダイレクト損保の自動車保険の解約発生率を算出し、各社の顧客満足度をランク分けしました。
ダイレクト損保を、解約発生率をもとにランク分け(2022年度実績)
解約発生率のランク
解約発生率をもとに、5ランクに分類しました。同じ枠の中では、解約が少なかった会社ほど上に書いてあります。
多い |
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---|---|
やや多い |
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ふつう |
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やや少ない |
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少ない |
|
赤い文字のセコム損保以外は、前年度(2021年度)と同じランクです。
セコム損保は前年度「やや多い」でした。2022年度にワンランクアップしています。
解約発生率は、各社の組織・従業員の総合力を反映しています。
そのせいか、年度によって極端に大きく変動することは、めったにありません。
解約発生率を比べるときの留意点
自動車保険を解約する理由は、商品・サービスへの不満だけではありません。次のようなものが考えられます。
- 廃車
- 車を手放す(譲渡、売却、リース会社への返却)
- 車検切れ
- 運転免許証の返納
- 他の自動車保険への乗り換え
ですから、解約発生率の差が小さいときは、無理に勝敗を決めないほうが安全です。
そうした考えで、順位をつけないで、上のようにランクに分けました。
ダイレクト型には代理店との人間関係がないので、やめやすいです。
そういう意味で、ダイレクト型のほうが、商品・サービスへの不満が解約につながりやすいと考えられます。
解約が多いグループと少ないグループとに、二極分化しつつある
上のランク表を見ると、解約が多いグループと少ないグループとに、二極分化しつつあるようです。
進む二極分化
解約が多いグループと少ないグループとの2組に分けました。
多い グループ |
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---|---|
少ない グループ |
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セコム損保は2022年度は「ふつう」でしたが、2021年度は「やや多い」だったので、多いグループに分けました。
顧客満足度の差か?
解約が多い原因が、たまたま廃車や免許返納が多かったから、とは考えにくいです。そんな偶然が2年続けて起こるとは思えません。
となると、解約が多いグループの方が、加入者の不満が大きいと考えざるを得ません。
例として、4つの損保会社の解約発生率(年間売上高に占める解約返戻金の割合)をご覧ください。
チューリッヒ保険 | 2.62% |
---|---|
楽天損保 | 1.61% |
セゾン自動車火災 | 1.01% |
SBI損保 | 0.68% |
最も解約が多かったチューリッヒ保険は、最も少なかったSBI損保の4倍近いです。セゾン自動車火災と比べても、2.5倍あります。
また、その次に解約が多かった楽天損保と比べても、1%以上の差があります。解約率としては大きな差です。
上の解約発生状況のランク分けの中から、気になる損害保険会社をピックアップ
次の5社を取り上げています。
- チューリッヒ保険
- セコム損保
- 三井ダイレクト損保
- ソニー損保
- SBI損保
なお、以下の解説の中では、こちらのページに何度か触れています。
チューリッヒ保険
チューリッヒ保険は、解約の発生率が飛び抜けて高いです。
また、別のページで解説しているように、苦情の発生率も高いです。
加入者の満足度は、他社より明らかに低いと考えられます。
セコム損保
別のページで解説したように、セコム損保の苦情発生率は低いです。ただし、自動車保険の売上が小さいことから、評価を保留にしていました(詳しいことは、お手数ですが、そちらのページをご覧ください)。
さて、このページで参考にした解約返戻金合計は、公式の数値ですし、内訳も公表されていますから、判断材料としては有力です。
セコム損保の自動車保険の顧客(加入者)満足度は、ダイレクト型の中で平均的なレベルと考えられます。
三井ダイレクト損保
三井ダイレクト損保は、ネット通販市場での存在感が後退している印象で、売上はパッとしません。
2019〜2022年度の、前の年度に対する自動車保険の売上高伸び率は、次のように推移しています。
下げ幅は小さいですが、4年のうち3年で売上ダウンしました。ジワジワと下降しています。
しかし、別のページで解説した苦情発生率は「ふつう」でしたし、このページの解約発生率は「少ない」です。
加入している方々の満足度は、そこそこ高いようです。
ということは、“魅力ある商品づくり”がうまくいっていないのでしょうか?
ソニー損保
ソニー損保は20年以上ダイレクト損保売上高トップを独走しています。2位と倍以上の差があります。
グラフは、過去4年度の、ソニー損保と現在2位のセゾン自動車火災の売上高の推移をあらわしています。
ソニー損保の強さの理由はいろいろあるのでしょうが、その一つが顧客満足度の高さのようです。
別のページで解説したように苦情発生率は低いですし、上のように解約発生率も低いです。
SBI損保
別のページで解説したように、SBI損保は苦情が「やや多い」損保会社です。
ところが、上のように、解約はトップクラスの少なさです。苦情は多いけれど、解約は大幅に少ないという、珍しい傾向です。
可能性として考えられるのは、苦情は多いものの、深刻なトラブルはわずかであるということです。
解約はしないけれど、次の更新のときに他社に切り替えている可能性はあります。
もっとも、SBI損保は自動車保険の売上を伸ばしています。大量の顧客流出は無さそうです。
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