自然災害はどこまで補償される?

自然災害による自動車事故で損害が発生したとき、自動車保険の補償を受けられないことがあります。

このページでは、後悔しないために知っておきたい点にしぼって解説します。

保険が使えるかどうかは、自然災害の種類によって決まる

自動車保険では、自然災害を大きく3つのグループに分けて、取り扱い方を変えています。

自然災害の種類ごとの取り扱い

地震・噴火・津波 すべての補償・サービスの対象外になる
台風・洪水・高潮 対人賠償保険、対物賠償保険の対象外になる
その他の災害 すべての補償・サービスの対象になる

津波と高潮は、どちらも海水が陸地に押し寄せてくる現象です。ただし、原因が異なります。

津波の原因は海底の地震等です。一方、高潮の原因は天候(台風や強い低気圧)です。

保険ごとに整理すると・・・

自動車保険を構成する4つの保険に分けて、自然災害への対応状況を整理し直したのが、下の表です。

 地震 
 噴火 
 津波 
 台風 
 洪水 
 高潮 
その他
対人賠償 × ×
対物賠償 × ×
人身傷害 ×
車両

車両保険の△印については、下で詳しく解説しています。

自然災害でも賠償責任は生じる

自然災害のときでも、他人に損害を与えて、それについてこちらに過失があるときは、損害賠償しなければなりません。

ただし、上でご説明したように、地震・噴火・津波・台風・洪水・高潮の6つの災害のときは、対人賠償保険と対物賠償保険とが使えません。自腹で損害賠償しなければなりません。

ですから、災害時に大切なのは、損害賠償責任を負うような状況に陥らないことです。

自動車保険によっては、自分の車の損害を補償できる(地震・噴火・津波車両全損時一時金特約)

上でご説明したように、地震・噴火・津波による損害は、原則として自動車保険の補償の対象外です。

ただし、自動車保険によっては、地震・噴火・津波車両全損時一時金特約というような名称の特約を提供しています(名称は商品によって異なります)。

地震・噴火・津波車両全損時一時金特約の補償内容

補償内容のポイントは、次の2点です。

  • 自分の車が全損したときに、一時金が出る(車両保険を補強)
  • 一時金の金額は、50万円または車両保険の保険金額の、どちらか安い方

全損というのは、➊物理的に修理できない、➋修理費用が車の時価を超える、のいずれかを指します。

各社の、この特約への対応状況

個人向け自動車保険の、この特約への対応状況は以下の通りです(2023年3月現在)。

特約あり
  • あいおいニッセイ同和
  • アクサダイレクト
  • AIG損保
  • 共栄火災
  • 損保ジャパン
  • チューリッヒ保険
  • 東京海上日動
  • 日新火災
  • 三井住友海上
  • こくみん共済
特約あり
  • イーデザイン損保
  • SBI損保
  • セコム損保
  • セゾン自動車火災
  • ソニー損保
  • 三井ダイレクト損保
  • 楽天損保

青文字が代理店型、赤文字がダイレクト型です。

この表からわかるように、ダイレクト型自動車保険の大半には、この特約がありません

人身傷害保険と車両保険の、事故の範囲の指定

人身傷害保険と車両保険に入るときは、どちらも「補償される事故の範囲」を指定します。

ほとんどの自動車保険では、どのように指定しても、台風・洪水・高潮・その他の自然災害は、補償対象になります

ただし、次の2つの商品に限って注意が必要です。

この2つの商品の車両保険は、他社商品よりもきめ細かく「補償される事故の範囲」を指定できます。

どちらも、もっとも範囲をせまく指定すると、自然災害は補償対象外になってしまいます。

意図的に自然災害を外すのならかまいませんが、うっかり外してしまわないよう、ご注意ください。

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