苦情が多いダイレクト型自動車保険

日本損害保険協会が公表している、損害保険各社に対する苦情件数(2022年度実績)をもとに、ダイレクト自動車保険の顧客満足度を分析しました。

おもなダイレクト損保を、苦情件数をもとにランク分け(2022年度実績)

苦情発生率をもとに、5ランクに分類しました。同じ枠の中では、苦情が少なかった会社ほど上に書いてあります。

多い
  • チューリッヒ保険
やや多い
  • SBI損保
ふつう
  • セゾン自動車火災
  • 三井ダイレクト損保
  • イーデザイン損保
  • アクサダイレクト
  • 楽天損保
やや少ない
  • ソニー損保
少ない
  • セコム損保

赤い文字の2社以外は、前年度(2021年度)と同じランクです。

セゾン自動車火災は前年度「やや少ない」、ソニー損保は「少ない」でした。どちらも、2022年度にワンランクダウンしています。

苦情発生率は、各社の組織・従業員の総合力を反映しています。

そのせいか、年度によって極端に大きく変動することは、めったにありません。

上の苦情発生状況のランク分けの中から、気になる損害保険会社をピックアップ

次の5社を取り上げています。

チューリッヒ保険

チューリッヒ保険は、おもなダイレクト損保の中で唯一、日本損害保険協会の会員ではありません。

ただし、外国損害保険協会の会員です。そして、この協会も苦情件数を公表しています。

そこで、両方の協会の会員である損保会社の実績を参考に、チューリッヒ保険の苦情件数を類推して計算しました。

その結果、苦情発生率はダイレクト損保の中で最大になりました。

苦情発生率はケタ違いに高い

強引な計算方法をとったので、大きな誤差があるはずです。

しかし、実際の苦情発生率は10分の1だったとしても、やはりチューリッヒ保険は苦情最多です。

自社の苦情受付件数も多い

損害保険各社は、自社で受け付けた苦情件数も公表しています。

「お問い合わせ」か「苦情」かを判定する基準が会社によって異なるので、他社とこの数字を比べても意味がありません。

とは言え、チャーリッヒ保険の自社受付件数は、年間に取り扱う契約件数がはるかに多い東京海上日動や損保ジャパンよりも多いです。

途中解約の発生率も最多

損害保険各社は、毎年、解約の発生状況を公表しています(別のページで解説しています)。

これを見ると、チューリッヒ保険の自動車保険の解約発生率は業界最多です。

顧客満足度に深刻な問題が何かあるのは、間違いないでしょう。

SBI損保

SBI損保も、チューリッヒ保険ほどではありませんが、苦情が多い会社です。

ただし、チューリッヒ保険と違って、解約発生率はとても低いです(別のページで解説しています)。他社には見られない特徴です。

可能性として考えられるのは、苦情は多いものの、深刻なトラブルはわずかであるということです。

セゾン自動車火災

『おとなの自動車保険』を販売するセゾン自動車火災は、ここ数年乗り上げを伸ばしています。

2019〜2022年度の、前の年度に対する売上高の伸び率は、次のように推移しています。

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 20% 10% 0% -10%

年度による違いはありますが、平均して年に10%以上の伸び率です。これは業界トップの伸び率です。

顧客数が増えると、サービスの品質低下が心配になります。実際、セゾン自動車火災のランクは「やや少ない」⇨「ふつう」とダウンしています。

とは言え、業界内で“中の上”くらいの品質を維持できています。

ソニー損保

ソニー損保は20年以上ダイレクト損保売上高トップを独走しています。2位と倍以上の差があります。

グラフは、過去4年度の、ソニー損保と現在2位のセゾン自動車火災の売上高の推移をあらわしています。

ソニー損保 セゾン自動車火災 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 200億 100億

ソニー損保の強さの理由はいろいろあるのでしょうが、その一つが顧客満足度の高さのようです。

苦情発生率は安定して低いです。

セコム損保

このページで比較している苦情発生率は、自動車保険に限ったものではありません。

とは言え、ダイレクト損保のほとんどは、自動車保険が圧倒的な主力商品です。

例外はセコム損保とチューリッヒ保険です。自動車保険の売上が占める割合は、セコム損保17.7%、チューリッヒ保険48.5%です。

セコム損保くらい割合が小さいと、苦情が多かろうと少なかろうと、それを自動車保険への評価とみなしにくいです。

がん保険 42.1% 火災保険 30.5% 自動車 保険 17.7% その他 100%

ですから、上でご覧いただいたセコム損保のランクは、あくまでも暫定ランクとします。

解約発生率、売上高の増減など、他のデータと突き合わせて、顧客満足度を総合的に判断したいです。

日本損害保険協会の苦情件数を参考にするときの注意点

公表されている情報そのものは信頼性が高いですが、公表されていないことが多いので、取り扱いには注意が必要です。

正確な苦情の発生率はわからない

公表されていのは苦情件数だけです。損保会社によって取り扱う件数が違うので、苦情件数だけでは、その数が多いのか少ないのかを判定できません。

保有契約数とか、年間取り扱い件数とかがわかれば、苦情発生率をある程度正確に計算できますが、どちらも公表されていません。

しかたがないので、このページでは、年間売上高を基準にして、苦情が多いか少ないかを判定しています。

年間売上高を基準にすると、代理店型の損保とダイレクト損保との比較が難しくなります。

代理店型のほうが、大口の法人契約が多いからです。

法人契約は。1つの契約で10台以上をまとめて補償します。1件あたりの売上高がかなり大きくなります。

ダイレクト損保は、個人向けの保険が中心なので、1件あたりの売上は小さいです。比較になりません。

自動車保険の苦情件数はわからない

公表されるのは、損保会社全体の苦情件数だけです。自動車保険だけの苦情件数はわかりません。

会社全体の苦情件数が分かれば、会社の体質を知ることはできます。十分に有益ではあります。

とは言え、商品ラインナップにへだたりがある損保会社同士を比較するときは、注意が必要になります。

ダイレクト損保はネット通販を前提としているため、販売する商品は限定されがちです。

一方、代理店型の損保は、対面での営業ができるので、さまざまな商品を販売できます。自動車保険や火災保険はもちろんのこと、船舶、航空機、大型店舗・工場などの保険も販売しています。

商品ラインナップに大きなへだたりがあると、苦情件数の比較だけでは、顧客満足度を判断しにくくなります。

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