最近人気のダイレクト型〔2022年版〕
ダイレクト損保各社の、2021年度の決算結果が出そろいましたので、売上実績をもとに、昨年度人気が高かった自動車保険を探りました。
ダイレクト型自動車保険の人気は売上高の増減に表れる
次の理由から、売上高の増減を比べると、ダイレクト型自動車保険の人気がわかります。
- 自動車保険は1年満期で、他社に乗り換えてもデメリットがない。
- 代理店販売ではないので、人間関係のしがらみがない。
- ネット通販で加入する人のほうが、比較して選ぼうとする意識が強い。
売上の大きさも重要ですが、売上の伸びにも注目したいです。
というのは、売上の規模は大きいけれどここ最近は伸びていない会社、というのがあるからです。
最近売上を伸ばしているダイレクト型自動車保険
最近売上を伸ばしているダイレクト型自動車保険をご覧ください。
1年間の実績だとたまたまということがあるので、2年間の売上の伸びを比較しました。
2019⇨2021年度の伸び
2019年度から2021年度にかけて、とくに売上の伸びが大きかった4社です(伸び率順)。
順位 | 会社名 | 売上の伸び |
---|---|---|
1位 | SBI損保 | 22.1% (81億円) |
2位 | セゾン自動車火災 | 20.2% (91億円) |
3位 | チューリッヒ保険 | 17.3% (74億円) |
4位 | ソニー損保 | 15.5% (167億円) |
伸び率の順位だとSBI損保が1位ですが、伸び高順に並べ替えるとソニー損保が飛び抜けて1位になります。
ダイレクト型自動車保険の売上高トップはソニー損保です。
つまり、ここに名前のないダイレクト型は、首位のソニー損保との差が拡大していることになります。
2018⇨2020年度の伸び
ご参考までに、1年前の順位(伸び率順)もご覧ください。
順位 | 会社名 | 売上の伸び |
---|---|---|
1位 | セゾン自動車火災 | 37.4% |
2位 | チューリッヒ保険 | 20.3% |
3位 | SBI損保 | 19.4% |
4位 | ソニー損保 | 13.2% |
順位の違いはありますが、損保会社の顔ぶれは2021年度のランキングと同じです。
ダイレクト型自動車保険は、伸びている商品と停滞している商品とに、二分されつつあるようです。
どんなダイレクト型自動車保険が売れているのか?
上でご覧いただいた、売れている4つのダイレクト型を、複数の切り口で分析しました。
顧客満足度は?
下表は、2021年度苦情発生率をランク分けしたものです。詳細は苦情が多いダイレクト型自動車保険をご覧ください。
苦情が多い |
|
---|---|
苦情がやや多い |
|
普通 |
|
苦情がやや少ない |
|
苦情が少ない |
|
赤文字が、売上が伸びていたダイレクト損保です。
よく売れているのは、苦情が少ない2社と苦情が多い2社でした。品質は決定的な要因ではないようです。
保険料の水準は?
下のグラフでは、45歳14等級の保険料をダイレクト型の相場(平均)と比較しています。
チューリッヒ保険は個人向けに2つの自動車保険を販売しています(どちらがよく売れているのかは非公表)。
30代や50代でも似た傾向です。ただし、チューリッヒ「スーパー自動車保険」は、見積もり条件によって、平均より高くなったり安くなったりします。
チューリッヒ「ネット専用自動車保険」は、ほとんどの見積もり条件で業界最安値クラスです。
どちらかと言うと安い保険の方が売れていますが、それが決定的な要因とは言い切れないようです。
売れている商品の特徴は?
売れているダイレクト型に、はっきりとした共通点はありません。ただ、次のことは言えそうです。
- セールスポイントが明確な商品が売れている。
- 大手損保のブランド効果は小さい。
売上の伸びトップ4は、弱点やクセはあるけれど、強みがハッキリしています。
また、このページで名前をあげた4社の中に、東京海上グループのイーデザイン損保や、MS&ADグループの三井ダイレクト損保の名前がありません。
売れているダイレクト型自動車保険の特徴
売上が伸びている4つの自動車保険の、それぞれの特徴を整理しました。
SBI損保
- ネット金融事業を幅広く手がけるSBIグループのダイレクト損保。
- ダイレクト型自動車保険の相場より安い料金設定。
- 補償内容の充実度はダイレクト型の中で平均レベル。
セゾン自動車火災
セゾン自動車火災の自動車保険は「おとなの自動車保険」という愛称です。
- 損保ジャパンと同じSOMPOグループのダイレクト損保。
- 10〜20代はかなり割高で、30代以降が割安になる変則的な保険料設定。
- ALSOK事故現場安心サポートが無料で提供される。
- 車両無過失事故に関する特約があるので、車両保険は手厚い。
- ロードサービスを外せる。
ソニー損保
- ソニー・グループ傘下のダイレクト損保。
- 2002年度よりダイレクト損保売上トップを独走。
- ダイレクト型の中では高めの価格設定。
- セコム事故現場かけつけサービスが無料で提供される。
- 補償内容の充実度はダイレクト型の中で平均レベル。
チューリッヒ保険
- スイスに拠点を置くチューリッヒ保険の日本支店。
- 「スーパー自動車保険」と「ネット専用自動車保険」の2つの個人向け商品。
- 「スーパー自動車保険」は充実のロードサービスが“売り”。
- 「ネット専用自動車保険」は業界最安レベルの保険料。
「ネット専用自動車保険」は、保険料を安くするために、次のような制限をもうけています。
- 加入できるのは21〜79歳
- 手続きはインターネットのみ(電話・郵送不可)
- 保険料払込はクレカ一括のみ
- 更新は自動継続
保険料は安いものの、一括払い(年払い)のみというのが気になるかもしれません。