イーデザイン損保、2023年4月より実質値上げ

2023年4月に、イーデザイン損保は保険料改定を実施しました。

その改定の概要と、改定の結果ライバルとの力関係がどう変わったかを解説します。

まず、イーデザイン損保の特徴を、復習しておきます

東京海上グループのダイレクト損保

イーデザイン損保そのものは歴史が浅く小規模ですが、三大損保グループの一つ、東京海上グループのダイレクト損保(損害保険をネット通販する損保会社)です。

主力商品「&e(アンディー)」

個人向けに2つの自動車保険を販売しています。

主力商品は2021年11月発売の「&e」です。イーデザイン損保は、最終的にこの商品の一本化すると明言しています。

大きな特徴は以下の点です

最新のデジタル技術に対応

東京海上グループは、「&e」の新発売と同時に、イーデザイン損保をグループにおけるデジタル技術の切り込み隊長に位置づけると発表しました。

その第一弾として、「&e」が新発売されました。

「&e」の他社にない特徴が、独自のIoTセンサーを使った安全運転サポートです。

独自の割引制度

「&e」の商品内容で、ある意味デジタル技術より驚かされたのが、保険料割引制度の大幅な見直しです。

下表は、「&e」と同社の従来商品との、割引制度の比較です。ちなみに、従来商品の割引制度は、ダイレクト型としてはよくある仕組みです。

割引 従来
商品
&e
インターネット割引
早割
証券e割
無事故割引
継続割引
新車割引
ASV割引
セカンドカー割引
紹介割引

従来商品は、標準的な商品内容

従来商品は、イーデザイン損保が営業を開始した2009年から販売されています。

補償・サービス内容に独自の工夫はあるものの、「&e」と比べると、ダイレクト型自動車保険としては標準的な商品です。

2023年4月の保険料改定で、高額なダイレクト型自動車保険に仲間入り

改定後の2つの自動車保険の保険料を、18パターンの見積もり条件でシミュレーションしました。その結果、次の2つのことが言えそうです。

ダイレクト自動車保険の売上No.1のソニー損保と比較しながら、解説します。

新規加入の保険料

見積もり条件などによって変動はありますが、全体的な印象は、下図のとおりです。

〔改定前〕 従来商品 &e ソニー損保 〔改定後〕 従来商品 &e ソニー損保

改定後の「&e」の保険料は、全体としてはソニー損保と同じくらいという印象ですが。見積もり条件によって勝ったり負けたりです。

たとえば、車両保険をつけないときは、「&e」のほうが高くなりやすいです。

従来商品の方は、ソニー損保との金額の差が縮まりました。

今回の保険料改定と同時に、商品内容も改定されていますが、小規模な補強にとどまっています。

中身を充実させたことによる値上がりではなく、単純に高くなっただけ・・・と言えそうです。

複数年での保険料比較

ダイレクト型自動車保険の場合、新規加入のときの保険料の比較だけでは、高いか安いかを判定できません。インターネット割引のせいです。

下のグラフは、イーデザイン損保の2つの自動車保険と、ソニー損保の自動車保険の、加入から4年間の保険料(年払い保険料)の推移をあらわしています。4年間無事故で、かつ保険料改定がなかった場合のシミュレーションです。

従来商品 &e ソニー損保 5万円 4万円 3万円 2万円 1万円 0 1年目 2年目 3年目 4年目

イーデザイン損保の従来商品とソニー損保は、インターネット割引のために、2年目に増加しています(割引の大きさは異なっています)。

一方、「&e」にはインターネット割引がないので、無事故で更新するたびに、保険料はすんなりと値下がりしていきます。

こうしたことの結果、次の2つのことが言えそうです。

  • イーデザイン損保の従来商品は、複数年で見ると、ソニー損保と近い水準。
  • 「&e」は、複数年で比べると、3商品の中で最も割安。

インターネット割引はほとんどのダイレクト型自動車保険で提供されています。

仕組みは商品によって異なりますが、1年目が最も大きく、2年目からダウンするタイプが主流です。

保険料改定後のイーデザイン損保のライバルは?

保険料だけに注目すると、保険料改定後のイーデザイン損保のライバルは、次のようになりそうです。

同じ価格帯のライバル

ダイレクト型の中で、保険料が高めのグループと競合します。

これらの自動車保険は、さらに2つのグループに分けることができます。

複数年で高くなるタイプ

上で説明したソニー損保もこのタイプです。ただし、アクサダイレクトとチューリッヒ保険は、ソニー損保よりもっと極端です。

下のグラフでは、上での保険料比較と同じ条件設定で、「&e」とチューリッヒ「スーパー自動車保険」の保険料の変化を比較しています

イーデザイン損保「&e」とチューリッヒ「スーパー自動車保険」の保険料の変化を比較

1年目のチューリッヒ保険は、ダイレクト型の平均くらいの安さです。ところが、2年目で大きく値上がりします。

ソニー損保と同じタイプですが、1年目と2年目の差が、ソニー損保より大きくなりやすいです。

アクサダイレクトもチューリッヒ「スーパー自動車保険」と似たタイプです。

ソニー損保の保険料は、1年目もそこそこ高いので、保険料が高い自動車保険という正しい(?)イメージを持ちやすいです。

一方、アクサダイレクトとチューリッヒ「スーパー自動車保険」は、1年目だけはダイレクト型の平均並みに安いので、割安な商品という誤った印象を持ちやすいです。ご注意ください。

割引が一定のタイプ

楽天損保「ドライブアシスト」にも、インターネット割引があります。

ただし、割引率は年数に関係なく一定です(このページ作成時点では一律25%)。そのため、保険料の変化のしかたは、「&e」と似たものになります。

イーデザイン損保「&e」と楽天損保の自動車保険の保険料の変化を比較

価格改定後は、「&e」のほうが楽天損保より高額になる確率が高まりました。

品質を維持したまま安くするなら・・・

ここまでに名前が出ていないダイレクト型自動車保険であれば、イーデザイン損保より安くなる可能性が高いです。

とは言え、品質面も気になるはず。品質を落とさないで保険料を安くしたいなら、以下の商品も候補に加えてください。

セゾン自動車火災「おとなの自動車保険」
  • 大手の損保ジャパンのグループ会社
  • 30〜60代で、かつ走行距離が平均以下なら、かなり安くなる。
  • 逆に、一般的に事故発生率が高いとされる層は、高額になりやすい。
  • 安全運転をサポートする独自のサービスはない。
三井ダイレクト損保
  • 大手の三井住友海上のグループ会社
  • 複数年で他社と比べると、割安な保険料水準
  • 専用ドライブレコーダーによる安全運転サポートがある(有料)。

評判が良いのは「おとなの自動車保険」の方です。保険料が安くなる条件に一致するなら、迷わずお勧めします。

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